6月1日 Twyla Tharp, Noa Guy

NYPLでダンスヴィデオ。
"Twyla Tharp Scrapbook 1965-1982"の続き。"The Fugue"(1970)はテーマの逆行、反行、倍速の操作によるダンス。ヴォキャブラリーはエクレクティックであり、明快な構造とのコントラストが素晴らしい、極めて魅力的な作品。いろんなカンパニーのレパートリーになって欲しい。その後、個人史の探求からミュージカル、チャールストンなどのポピュラーなダンスへの参照が語られるが、以降は相対化された引用が、何の批評性もない受容を経過して行くように見える。作家もそれを受け入れ、作家の前衛はむしろ観客の保守を保証していくようになる。それでも"All About Eggs"に見られるユーモアや、ダンサーにカメラを持たせ、撮影そのものも振付した"Bad Smells"には時代に同伴しただけではない、面白さがある。このドキュメンタリー、Fitzgerald & Sanbornのプロダクション。
Twyla Tharp"Deuce coupe"(1973)のスタジオ・リハーサル。ポップダンスとクラシック・バレエのテクニックを対比的に扱ったダンス。今でこそ表現の前提でしかないことが、73年にはどれだけ新鮮に映ったことだろうか。年代的にも美術や音楽のエクレクティシズムを遥かに先取りしているが、それでも今見ると、時代の先駆以上のものは感じない。
Lucinda Childs"Four Elements"(1989)Rambert Dance Companyの委嘱作についてのBBCドキュメンタリー。Carnationの引用が入っている。語法的には幾何学的な動きではあるが、新表現主義の背景画と衣装、ロマンティックなギャヴィン・ブライヤーズの音楽のせいで、しょうもないものに。
Noa Guy
@ Roulette
交通事故で脳に障害を負った作曲家の、意識の喪失とその回復をテーマにしたコンサート。いまだ歩くことができない、老女といって良いだろう年齢の作曲家が若いダンサーに抱かれて、手を振りながら振り回されて登場し、繊細な電子音、内部奏法のピアノとそのライヴ・プロセッシング、ヴォイス・パフォーマンス。その障害と関係づけられるのか知らないが、表現への強烈な意志と、恐ろしくデリケートな音楽に感銘を受ける。