3月15日 Judson, David Tudor

NYPLでElaine Summersの"Judson fragments"とGrand Unionを見る。"Judson fragments"はもともとElaine Summersのマルチメディアショーのための素材のようで、1964年当時のジャドソン周辺のパフォーマンスの断片のコラージュのようなもの。アニメーションやFred Herkoのゴミ箱で花を育てるパフォーマンス、Deborah HayとSteve Paxton(?)の巨大風船のパフォーマンス、Yvonne Rainer(?)の庭を淡々と歩くだけのパフォーマンス(これ面白い)などが細切れにつながる。James Waringのバレエ・クラスなどもある。ダンサーによるフルクサス。音楽にMalcolm GoldsteinとJohn Herbert McDowellとあるが、声と電子音のPhillip Cornerを思わせる音楽。Grand Unionは1975年、Minneapolis Tyrone Guthrie Theatreでの公演記録。白黒で画質、音質とも大変悪い。2時間かけた即興で、距離を置きながらダンサー同士の関係をゆっくりと探っていくような場面が前半、だんだん語りやギャグ、シアトリカルな関係性(観客も含めて)が濃くなっていき、さまざまなお辞儀のパフォーマンス(It's gonna rainがかかる)を経由して終わる。照明もいろいろ変わり、音楽(だいたい当時のロック)もときどきかかるが、これはメンバーが操作しているのかも知れない。舞台に素で立っているシーンも多いが特に音楽がかかるとそれにのって踊ってしまうわけで、そうなると個々人の技術のようなものが前面に出る(やはりトリシャ・ブラウンは素晴らしい、という話になる)。
David Tudor Bandoneon! (a combine)
@ Baryshnikov Arts Center
9 evenings 毎年リリースの今年、"Bandoneon!"(「バンドネオン、びっくり」ではなくて"Bandneon Factorial")のリリース記念のイヴェント。本当に9年かけてやるんでしょうか。ショーイングとJulie MartinとDavid Behrmanによるトーク。例によって音声は劣悪だが、うんざりするほど素晴らしい作品。基本的にはバンドネオンに仕込まれた多くのマイクからの音をモジュレートし、空間にさまざまに放出するのと、音による映像と照明のコントロール。面白いのはVochromeという機械。インプットの電気音声信号でハーモニウムのリードを(おそらく磁気的に)共振させ、リードの接触でリレーを駆動させる装置。機械式スペクトラム・アナライザー、もしくはピッチ・ディテクター。音声は光コントロールのディストリビューターを通って、ラジオコントロールで会場を走り回るカート上のスピーカー(及び様々な素材をアクチュエーターで振動させるもの、Rainforestの原型)に送られる。システム・ダイアグラムと見ると"Saturated Amp."というのがずらりと並んでいるがこれはディストーションだろうか。トークで面白かった点。チュードアは音にインタラクトして演奏していた、システムがノーテーションである、というバーマンの発言。質疑応答でもこの点に話が及び、即興とは違うのか、このフィードバックを何と呼べばいいのかが話題になった。私はGrand Unionにおいて使われたような意味で即興と呼んでなんら差し支えないように思う。ケージに気兼ねする必要はない。