3月14日 Lyon Opera Ballet, Kevin Volans

Lyon Opera Ballet
@ Joyce Theater
Merce Cunningham "Beach Birds", William Forsythe "Duo", Maguy Marin "Grosse Fugue"
演目の良さ(分かりやすさ)に惹かれてチケットを買ったが、そういえばリヨンオペラバレエって以前、神奈川でかなりひどいパフォーマンスを見せたカンパニー。でも今回はそこそこでほっとした。前ひどかったのは、技量の低さもさりながら、振付けを個々人の手順としてしかとらえておらず、手順をどうつなぎ、何を一致させれば作品になるか、という視点が欠落していたからなのだが、どうもダンサーがかなり上手になったようなのと、そのような視点を持たずともできる振付けがならんでいたからか。カニングハムはいかに体の必然性なるものに注意を払っていないかがよく分かり、その意味でやはりバレエ=モダンの人だと思う。ポーズの不自然極まりない連続には改めて感銘を受けた。この不自然さは個々の身体に依存していない。ケージの曲は座付き(多分)の演奏家によるパフォーマンスで特にピアニストの弾く単旋律の無関心な投げやりさに驚いた。そんな演奏でも伝わるものや理解されるものがある。譜面て怖い。フォーサイスはもうちょっとなんとか。フォーサイスは運動の人なので静止画の連続では再生できない。マランは「大フーガ」を音楽構造的に解釈しつつ、その分裂をも内面的にダンスに置き換えようとしているのか、これはダンサーもうまく、というより単に感情移入の問題なんでしょうか。
ACME music of John Luther Adams and Kevin Volans
@ Le Poison Rouge
若い現代音楽団体の公演。どちらの作曲家も関心の中心に来る人たちではないけれど、アメリカでしか考えられないプログラムに惹かれて。John Luther Adams "The Farthest Place" アラスカの空撮映像についてる音楽みたいだと聞いていたら終わってしまった。Kevin Volans "White Man Sleeps" 増幅して聴くと全体が溶け合わずに細かい部分に関心が向かう。何度も聴いた音楽だけど、「アフリカ的」な表面に隠れた発想の豊かさが聴こえてきてとても面白かった。何故か全部の楽章でなく演奏順も違っていた。それにしてもアメリカの若い演奏家、特に弦は輝くような音を出す。Kevin Volans "Shiva Dances" 近作。晩年のフェルドマンをワイルドにしたような。和声、フレーズの組み方、地味だけど異様に独自な音楽。John Luther Adams "In A Treeless Place, Only Snow"複雑に絡み合いながら反復される線が束のように聴こえてくる。増幅されるアンサンブルの面白さ、ケヴィン・ヴォランズの特異性。それにしてもご飯を食べながら音楽を聴くのには慣れない。ご飯を食べてる人の前で演るのも。