1月17日 Ken Butler

Ken Butler + Electric Junkyard Gamelan
@ Zebulon
ブルックリンのひなびた感じのパブ、有名なところらしい。Ken Butlerは楽器の凄まじさに対して、演奏する音楽が全部アラビックなカントリーみたいで、いまいち興味がなかったのだが、実際のパフォーマンスを見て納得、を通り越して呆然。録音だけでは分からないことが多すぎる。テニスラケットからシャベルから傘からライフル銃から小刀まですべてがギターかヴァイオリンになっていて、その楽器の形状固有の作曲がなされている。その辺にいそうなおじさんが、客と上手にやり合いながら、壮絶なパフォーマンスを展開する。本人に聞いたら周期リズムのない音楽は演奏したくないそうです。ヴァイオリンになっているヴァイオリンの弓には参った。天才とはこのこと。Electric Junkyard Gamelanは植木鉢、鍋、釜、ドラム缶+輪ゴム系自作楽器によるヒップホップ・ガムラン・カルテット(既成の楽器は一切なし)でこれまた壮絶にうまい。ガムランの構造を別のリズム体系につっこんだような作曲。モードの利用も含めよく考えられている。ひたすらタテノリ。客は40人くらいで、投げ銭制。
そんなわけで、Ken Butlerをいつか日本に呼びましょう。1991年に来日しているらしく、楽器の運搬も難しくないそうです。ここにあるのはごく一部。
http://www.mindspring.com/~kbhybrid/
アメリカン・ガムランに代表される、明らかに自分が属さない伝統に、積極的に、もしくはナイーヴにアプローチして最終的に折衷されたものを作るのと、すべてを折衷しつつ中心に固有のコンセプトや身体技法を置くやりかたの対立。ルー・ハリソンとハリー・パーチ。でも意外と違わないのかもしれないね。