1月19日 Toni Dove

Lucid Possession / Toni Dove
@ Here Arts Center
ヴァーチャル・リアリティーのアヴァターを巡る、マルチメディア演劇というと、いかにもで、あまり期待していなかったのだが、なかなか面白かった。物語は基本的にヴィデオで進行し、ヴィデオの中では主人公はアヴァターをモーションキャプチャーのシステムでコントロールするのだが、そのスクリーンに映らないアヴァターは、ステージ上の布でできた巨大な人形じみたロボットで主人公とは似ても似つかない。似ていないが故に逆にエモーショナルに見える。そのアヴァターの声はステージ上の実在の歌手(主人公と同一人物)で、ヴィデオは、アヴァターを操るシステムと同じシステムでステージ脇でコントロールされる(アヴァターは何故か観客席のiPhoneで操作)。だから一方向に時間軸が進む訳ではない。サイバーパンクが紙の上で展開したイマジネーションの構造を、ハイテクで写し取ったといえる作品。テクノロジーをしっかり対象化し、ハイテクだけど、お金もかかっているけど、手作り感あふれているのが良い。