4月15日 Mies van der Rohe

The School of the Art Institute of Chicago
Nicのクラスで3時間のレクチャーと、そのあと3時間強のクリティック。ニックの広範な教養と実践に支えられた質問にいろいろ教えられる。手作り楽器とモジュール形式の楽譜の関係など。大きな話題となったのはミニマリズムと即興の橋渡しがどのように可能かということ。これはミニマリスティックな即興ということではなく、即興とシステマティックな思考とのバランスと言った方が良かったかもしれないが、少なくとも60-70年代のアメリカのミニマリズムはシステマテッィクな構造と切り離して考えることはできない。これはダダとコンストラクショニズムの関係として考えることもできるだろうと思う。デュースブルフや村山知義やケージにおいて繰り返しでてきた問題。クリティックは希望を出した学生の学内スタジオを訪ねるという形式。学生達はさすがに優秀だが、studentlikeな作品とmatureな作品の違いというのは歴然とあり、しかしそれをうまく説明できないのがまだるこしい。難しいのは美術館やジャーナリズムという権威もその違いが分からなくなっている点。だからそこクリティクが必要なのかもしれないが。例えば学生のひとりJoe Grimmの映写機と扇風機の作品はどこにでも出せるクオリティを持っているが、ギャラリーと美術館が結託した商業的な世界でやっていけるかどうかは運の問題でしかないだろう。その点、実験音楽の世界には作品の質が問題とされる健全さがまだまだ残っている。

川とミシガン湖の建築ツアー
遊覧船に乗って、ガイドを聞きながらのツアー。ニューヨークの擬古典様式に辟易した目には、機能の重視の果てのイデアの具現に転倒したミース・ファン・デル・ローエとそのイミテーションの建築群は驚くほど清々しい。湖上から眺める都市はバウハウスの実現するはずのない夢がアイロニカルな形で具体化したかのようで目眩を感じる。ここまでガラスで覆われた街があるとは。神の遍在する土地で神の招聘をおこなうというほとんど悪い夢。