2月25日 Thomas Buckner

Thomas Buckner
@ Roulette
Bun Ching Lam "Trois Cadeaux", Earl Howard "Frond", Matthias Kaul "Mellow Quark", Eckart Beinke "Time Stands/Wildhorrend/Jahrtausende", Improvisation。
バリトン歌手のソロ・リサイタルであるが、ちょっとロマンティックなニュー・ミュージックからごりごりの実験音楽まで。Earl Howardの"Frond"が白眉。インストラクションに従ったBuckner, Mari Kimura (violin), JD Parran (bass saxophone)の即興的な演奏を作曲者のKurzweilのK2600でプロセッシング。全体の構造化とエレクトロニクスの細分化が拮抗する。Kurzweilでこんなことができるとは知らなかった。Earl Howardは全盲でKurzweilを手探りでもの凄いスピードでコントロールする。鍵盤はともかくボタンやスライダーをこのように扱うのに驚く。離れたところにあるミキサーも同じように操作。Matthias KaulのL'Art Pour L'Artのための曲は、ちまちました超絶技巧作品で妙に抑制されたバランスの悪さが面白い。最後の即興は出演者がほぼ総出で、3つのグループに分かれて、各ブループがひとつのまとまりになるように演奏するというもの。8人もいるとこうするしかないかもしれない。終わってからEarl Howardと話す。結構パイオニアなんですね、知りませんでした。初対面でこんなにずけずけ話す人はアメリカでは珍しい。