6月3日 Ken Jacobs, Brenda Hutchinson

チェルシーで画廊巡り。全体のレベルは高く、下手に美術館で現代美術を見るより面白い。美術館はここでは、その制度的な存続に汲々としているように思える。

EAIのViewing Roomでヴィデオ。
The Wooster Group/ "The Emperor Jones"ヴィデオ作品。まるで歌舞伎のようなスタイルで、特にダンスシーンが強力。ウィレム・デフォーは本当に変態的で癖になりそう。キャンプという観点から考えたい作品。何いってるかはほとんど分からないが。他、"Flaubert Dreams of Travel But The Illness of His Mother Prevents It"などを飛ばし見。
Ken Jacobs/ 近作と"Blonde Cobra"。"Capitalism: Slavery"を初めとする、90年代以降の3Dアニメは初めて見る。今なお果敢に新しいテクノロジーに挑戦するだけでなく、そこに美意識と政治性を結合させて盛り込んだ作品群。凄い。"Blonde Cobra"これを正確にジェイコブスの作品といえるかは分からないが、とにかくジャック・スミスのパフォーマンスを想像する助けにはなるだろう。奇妙な時間の流れ。最初に上演に合わせてラジオを操作するインストラクションがある。
"The Medium is the Medium" WGBH制作のヴィデオ・アート・コンピレーション。Aldo Tambellini、Thomas Tadlock、Allan Kaprow、James Seawright、Otto Piene、Nam June Paikの順。カプローのクローズド・サーキットによるコミュニケーション/ハプニング、ピーネのスカイ・アートとライトショーの合成。でもパイクの観客参加をうたった訳の分からなさが一番面白い。
Lawrence Weiner/ 最初のヴィデオ作品"Beached"浜辺の木を陸にあげる5つのやりかた。"Do You Believe in Water?"7人くらいのパフォーマーの語りと仕草が複雑に交差するシアター作品。
"The Kitchen Promo Tape"/ 74-75のパフォーマンスのコンピレーション。スティーヴ・パクストンの早い時期の、技術体系になる前のコンタクト・インプロヴィゼーションがとても面白い。
"Rhys Chatham: A Four Year Retrospective"/ リス・チャタムの初期作品集だが、曲目も作曲年も不明。最初の作品はギター2人が向かい合ってひとつの和音をハイアットのビートに合わせて延々弾き続ける。まったくエレキギター+ロック・フォームによるラモンテ・ヤング。後の方に"Guitar Trio"なんかが入っている。
Gordon Matt-Clark/ ドキュメンタリー。家屋を切る系統の作品を中心に。本当かどうか知らないが、全部作業を一人でやっていてびっくりした。ドキュメンタリーとしては冗長かな。
 
Travis Justとミーティング。
 

Brenda Hutchinson
@ Roulette
最初に兄弟との昔話があり、携帯の留守電メッセージと子供の頃に歌った曲による、過去の召還といった内容。メッセージのライヴ・プロセッシングのあと、その兄弟の声が聞こえて来るという、シアトリカルといってよいのか、妙なパフォーマンス。後半は事前の公募された人たちによる観客への贈り物。ハッチンソンは紙コップの作り方。他の人達は歌か詩が多い。最後の大勢のアカペラでクラフトワークの「コンピュータワールド」をやるのが面白かったけど、面白さを狙っている訳ではないんでしょうね。どちらも微妙な内容。